職務経歴書の書き方を調べて、「退職理由は原則として書く必要はない」という説明を見つける。スペースも限られているし、書かないほうが余計な誤解も生まない。そう判断して、転職理由の欄を作らずに提出する。
私はその書類を読む側にいます。エンジニアのポジションで書類選考を担当しています。
その立場から書くと、書かれていないこと自体を理由に見送ることは、私はありません。ただし例外が一つあります。そこに当てはまる場合、書くかどうかは書類で終わるかどうかの分かれ目になります。
この記事では、その分かれ目がどこにあるかを書きます。例文やテンプレートは出しません。
以下はすべて、私が担当している範囲での話です。
目次
「書かなくていい」は、だいたい正しい
まず、書き方を調べると出てくる説明を確認しておきます。
たとえばリクルートエージェントの解説では、退職理由は「原則として職務経歴書に書く必要はありません」とされています。理由として、限られたスペースでは真意が伝わらず誤解を招きうること、スキルや経験以外の情報がないほうが能力をシンプルに評価してもらえること、職務経歴書は必ずしも退職理由を伝えるタイミングではないこと、が挙げられています(2026-09-16参照)。
読む側から見ても、これは概ねそのとおりだと思っています。転職理由が書かれていないこと自体を、私が問題にすることはありません。
ただし、引っかかるケースが一つあります。
書いていないと、書類で終わる場合がある
ここが本題です。
あまりにも短期間の在籍が連続しているにもかかわらず、その説明が書かれていない場合、書類の段階で終わりになります。
「気になるので面接で聞いてみよう」とはなりません。理由は単純で、原因を推測で補ってまで面接の時間を設けるほど、こちらは暇ではないからです。
書いてあれば、それを読んで判断できます。書いていなければ、判断材料がないまま「なぜこの人は短い期間で移り続けているのか」をこちらが想像することになります。その想像を確かめるために時間を取るという選択には、なりにくいです。
つまり、同じ「書かない」でも、経歴の形によって意味が変わります。普通に続いている経歴では、書かないことは中立です。短期離職が続いている経歴では、書かないことは判断材料の欠落になります。
書類に情報が足りないと確認ではなく見送りになる、という話は職務経歴書が通らないとき、読む側が探しているものにも書きました。転職理由も同じ扱いになる、ということです。
書いてあるとき、そこで何を見ているか
では、書かれている場合に何を読んでいるのか。
見ているのは、次のようなところです。
- その理由が、応募してきているポジションや組織で解決されるのか
- 同じことで、あるいはその方の特性によって、また辞めることにならないか
- カルチャーフィットするか
一つ目は、面談で見ているものと同じです。転職理由が、応募先で実際に解消されるのかどうか。ここが噛み合っていないと、入ってから同じことが起きます。
二つ目が、短期離職が続いている場合に効いてきます。こちらが知りたいのは過去の出来事そのものではなく、それが繰り返されるのかどうかです。だから理由が書かれていて、それが今回の応募先では当てはまらないと読み取れる形になっていれば、そこは書類の段階で確認できます。
要望が多すぎると、別の印象になる
書き方について、引っかかるパターンはあまり思いつきません。ただ一つだけ挙げるとすれば、これです。
応募するポジションに対する要望が多すぎると、テイカー気質なのではないか、と感じてしまうことがあります。
求めているものが並びすぎると、与える側ではなく受け取る側に立ちがちな人ではないか、という印象のほうが先に立ってしまいます。
書くとしても、要望を列挙する方向には広げないほうがいいと思います。
書くとしたら、どうするか
三つに絞ります。
- 経歴が普通に続いているなら、無理に書かなくていい。 書かないことがマイナスになることはありません。
- 短期間の在籍が続いているなら、書く。 ここは書かないと、推測される前に終わります。判断材料を置いておくかどうかの問題です。
- 書くなら「それが応募先では起きない」と分かる形にする。 見られているのは過去そのものではなく、同じことが繰り返されるかどうかです。要望を並べる方向には広げないほうがいいです。
繰り返しになりますが、これは私が担当している範囲での話です。書類のどこまでを重く見るかは、読む人やポジションによって変わります。