「カジュアル面談なので、普段着でリラックスしてお越しください」と案内されたあと、念のため逆質問の例文を検索して、いくつもメモに書き写す。そこまでやったところで、これは本当に必要なのだろうか、と手が止まる。
私はその面談を実施する側にいます。エンジニアの一次面接とカジュアル面談を担当しています。その立場から言うと、そのメモは、ほとんど使わないまま終わります。
ただし「だから何も考えずに行っていい」という話でもありません。準備しておいたほうがいいことは、一つだけあります。
以下はすべて、私が担当している範囲での話です。カジュアル面談の位置づけは会社や部署によって違うので、どこでも同じとは限りません。
目次
何のために設定しているのか
私がカジュアル面談を設定する目的は、候補者に、部署がやっている業務やプロダクトを知ってもらうことです。選考が進んでから「思っていた内容と違った」となるのを、手前の段階で減らしたい。それが主な理由です。
つまり、こちらから情報を出しにいく場です。候補者の力量を測る場ではありません。実際、この場でスキルを見るということはしていません。
「選考ではない」は、どこまで本当か
半分は本当で、半分は言い過ぎだと思っています。
正式な選考ではない、という意味では本当です。私が関わっている範囲では、カジュアル面談で話した内容が、正式な選考プロセスの記録として残ることはありません。簡単なメモ程度を残している人はいるかもしれませんが、それが選考の判断材料として回っていくことはない、という理解です。
ですから、気になっている会社があるなら、まず話を聞いてみるのがいいと思います。ここで何かを失うことは、基本的にありません。
一方で「まったく何も思われない」かというと、そこは正直に書いておきます。スキルを評価してはいませんが、話していて「この人はうちには合わないだろうな」と感じたり、「少し微妙だな」と思ったりすることは、普通にあります。人が話しているので、印象はどうしても残ります。
記録には残らない。でも人の印象には残る。この二つは両立します。
面談中、実際に見ていること
評価ではなく、接点を探しています。
具体的には、次の二つを聞いています。
- 候補者が、どういう部分に興味を持っているか
- どういうスキルを持っている人で、それがどの部分に活かせそうか
二つ目は「スキルの高さを採点している」という意味ではありません。うちのどの仕事と噛み合いそうかを探している、という意味です。だから、できないことを隠す必要はあまりないと思っています。噛み合う場所が見つからないなら、それはお互いにとって早めに分かったほうがいい情報です。
「試されている」と身構えるより、「共通点を探しにきている人がいる」と思ってもらったほうが、実態に近いはずです。
一つだけ、引っかかるところ
ここが、この記事で一番書いておきたいことです。
何を目的に転職しようとしていて、このポジションでそれが解決されるのか。ここが自分の言葉で説明できるかどうかは、見ています。
うまく言えなくても落ちる、というような仕組みの話ではありません(そもそも正式な選考ではないので)。ただ、そこがスムーズに話せないと、「大丈夫かな」と感じてしまうとは思います。
逆に言うと、ここさえ言葉になっていれば、他はその場で考えながら話して問題ありません。技術的な深掘りをされる場でもないので、身構える必要はないです(技術的に掘られる場でどう見ているかは、技術面接で「わかりません」と答えたあとに、見られていることに書きました)。
逆質問は、どう受け取られているか
冒頭のメモの話に戻ります。
逆質問の内容で結果がどうにかなるとは、私はあまり思っていません。
理由は二つあります。一つは、人事的なこと(制度や条件の類)は、聞かれたら機械的に答えるだけだからです。もう一つは、こちらが気になっている部分は、面談の中の会話ですでに把握できているからです。改めて質問してもらわないと分からない、ということがあまりありません。
ただし、避けたほうがいいものはあります。相手の立場に置き換えて「これは答えるのが面倒だな」と感じる質問は、実際に面倒だと思われるだけです。無理に数を用意しようとすると、こういう質問が混ざりやすくなります。
聞きたいことがないなら、ないで終わって構わないというのが、私の考えです。無理にひねり出したほうがいい、とは思いません。
それで、何を準備すればいいか
三つに絞ります。
- 転職の目的と、このポジションでそれが解決するかを、自分の言葉で言えるようにしておく。 準備が要るのは実質ここだけです。
- 逆質問は、無理に用意しない。 聞きたいことがあれば聞けばよく、なければ終わって構いません。数を揃えることに意味はありません。
- 業務やプロダクトの話を聞きにいくつもりで行く。 こちらはそれを伝えるために時間を取っています。
最後にもう一度だけ書いておくと、これは私が担当している範囲での話です。他社のカジュアル面談が選考と地続きになっている可能性は普通にあります。案内の文面や、面談の相手が誰か(現場か、人事か、役員か)で、位置づけは変わってくるはずです。